住宅ローンの返済について考える際、多くの人が直面する選択は「繰り上げ返済か、それとも資産運用か」というものです。
このブログでは、なぜ資産運用が繰り上げ返済よりも有利なのかを掘り下げ、実際の金利の差とその影響を詳しく見ていきます。
具体的には、資産運用が提供する高い金利の可能性と、繰り上げ返済と資産運用を行った場合の差額を比較検討します。
しかし、資産運用には様々な側面があり、一体全体それは良い選択なのでしょうか?
この記事を通じて、住宅ローン返済のための資産運用のメリットと注意点を明らかにします。
目次
住宅ローンの返済は繰り上げ返済より資産運用がお得です
住宅ローンを上手く管理するコツは、繰り上げ返済よりも資産運用に目を向けることです。
理由は現在、住宅ローンの変動金利が0.675%程度である一方。
米国第2位の資産運用会社vanguard社から発表された2023年11月のレポートによると、米国総合債券の今後10年間の年換算リターン予測は約4.8%〜5.8%(※1)とされているからです。
毎月10万円積み立てて年120万円繰上げ返済を10年間するなら、2024年から始まる新NISAを活用して、資産運用で毎月10万円をコツコツと積み立てを行い、1200万円溜まった時点で一括返済するのが賢い戦略です。
この方法なら、新NISAと金融市場の利点を活用しながら、最終的な支払い額を減らすことが可能です。
(※1 データ引用:Our investment and economic outlook, November 2023)
資産運用の方が断然金利が高い
変動金利と資産運用の金利を比較すると、資産運用の方がはるかに金利が高いことがわかります。
変動金利は0.675%です。
- (1)米国総合債券の今後10年間の年換算リターンの予測は、4.8%~5.8%
- (2)米国株の今後10年間の年換算リターンの予測は、4.2%~6.2%
- (3)米国を除く世界株式の今後10年間の年換算リターンの予測は、7.1%~9.1%
変動金利はわずか0.675%です。
まず、変動金利に注目すると、現在その金利はわずか0.675%となっています。これは住宅ローンの変動金利などに適用される金利であり、0.675%と比較的低い水準に留まっています。
変動金利 | 適用金利(年) |
---|---|
三菱東京UFJ銀行 | 0.345%~0.475% |
三井住友銀行 | 0.475%~0.725% |
みずほ銀行 | 0.375%~0.675% |
auじぶん銀行 | 0.319% |
PayPay銀行 | 0.290% |
ソニー銀行 | 0.757% |
住信SBIネット銀行 | 0.298% |
(1)米国総合債券の今後10年間の年換算リターンの予測は、4.8%~5.8%です。
次に、米国総合債券について見てみましょう。専門家による予測では、今後10年間の年換算リターンは4.8%から5.8%の範囲になると見込まれています。これは変動金利の0.675%と比較して、明らかに高いリターンを示しています。総合債券は比較的安定した資産運用の選択肢とされており、これだけのリターンが期待できるのは注目です。
(2)米国株の今後10年間の年換算リターンの予測は、4.2%~6.2%です。
さらに、米国株に目を向けると、今後10年間の年換算リターンの予測は4.2%から6.2%とされています。この範囲もまた、変動金利の0.675%を大きく上回る数値です。米国株は、長期的な成長潜在力を持つ市場として知られ、投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
(3)米国を除く世界株式の今後10年間の年換算リターンの予測は、7.1%~9.1%です。
最後に、米国を除く世界株式に目を向けると、今後10年間の年換算リターンの予測は7.1%から9.1%となっています。この数字は、特に高いリターンが期待できることを示しており、グローバルな市場の多様性と成長潜在力を反映しています。
株式/固定収入 | 年換算名目リターン | ボラティリティ中央値 |
---|---|---|
米国株 | 4.2%~6.2% | 17.0% |
米国を除く世界株式(ヘッジなし) | 7.1%~9.1% | 18.0% |
米国を除く世界の先進国株式(ヘッジなし) | 7.0%~9.0% | 16.7% |
新興国株式(ヘッジなし) | 6.6%~8.6% | 26.2% |
米国REIT | 4.6%~6.6% | 20.5% |
米国総合債券 | 4.8%~5.8% | 5.6% |
米国を除くグローバル債券(ヘッジあり) | 4.7%~5.7% | 4.4% |
米国国債 | 4.4%~5.4% | 5.9% |
(データ引用:Our investment and economic outlook, November 2023)
これらのデータを総合すると、変動金利よりも資産運用の方が断然金利が高いという結論に至ります。
繰上げ返済した時と資産運用した時で差額がこんなに違う
今回は、住宅ローン3500万円を変動金利0.675%で返済期間35年を例に、繰上げ返済した場合と、資産運用して一括返済した場合の差額を見ていきたいと思います。
- 借入金:3500万円
- 金利:0.675%
- 返済期間:35年
- 返済頻度:毎月
- 総返済額:約3930万円(利息:430万円)
今回のシミュレーションは次の条件
その(1)住宅ローン(0.675%)を繰り上げ返済した場合。
毎月10万円積み立てて一年ごとに10年間繰上げ返済し続けた場合、総返済額は約3727万円になります。何もしない場合総返済額は3930万円です。
つまりトータルが204万円の差額がお得になります。
その(2)米国総合債券で4.8%~5.8%で資産運用した場合。
毎月10万円を5%で10年間半年複利で運用すると、1200万円が約1555万円になります。利息は355万円です。さらにその時点で1555万円を繰り上げ返済すると、住宅ローンの利息が191万円お得になりました。
つまりトータルで546万円の差額がお得になります。
その(3)米国を除く世界株式で7.1%~9.1%で資産運用した場合。
毎月10万円を8%で10年間半年複利で運用すると、元金1200万円は、なんと約1829万円になります。この時点で利息は629万円増えています。さらにその時点で1829万円を繰り上げ返済に充てると、住宅ローンが利息が207万円お得になりました。
つまりトータルで836万円の差額がお得になります。
如何だったでしょうか、結構違いがありましたね。
資産運用はいいことばかりなのか?
たしかに資産運用した方がリターンは大きいです。それに対してリスクも存在します。また投資の知識も必要です。
- (1)株価の値下がりリスク
- (2)債券のデフォルトリスク
- (3)そもそも運用知識がない
でも大丈夫です。その理由をこれから説明します。
(1)株価の値下がりリスク
株式投資は会社の成長に資するもので、アップルやGoogle、トヨタのような大企業も、かつては小さなスタートから多くの困難を乗り越えて成長しました。これからも多くの企業が努力と成長を続けるでしょう。株式インデックスは時折下落することもありますが、ドルコスト平均法を利用すれば、価格の波に左右されずに平均的な単価で購入することができます。株式市場は長期的な視点で見ることが重要で、時間をかけて保有することで、企業の成長を株価の上昇として享受できます。
(2)債券のデフォルトリスク
債券投資は、資金を必要とする人々や組織にお金を貸し、その見返りに利息を受け取る方法です。貸し手が国家の場合は国債、企業であれば社債と呼ばれます。しかし、条件が良いほど、その相手が資金繰りに苦しんでおり、デフォルト(債務不履行)のリスクが高まることがあります。中には実際に倒産する企業も存在します。ただし、米国総合債券のように多くの債券に分散投資している場合、一つの企業が倒産しても全体の投資への影響は限定的で、リスクを軽減できます。
(3)そもそも運用知識がない
投資の知識が乏しい方や、時間がない方には、株式と債券を自動でリバランス(バランス調整)するバランス型の投資信託が最適です。リバランスとは、市場の変動に応じて資産の配分を適切に調整することを指し、これによりリスクを管理しつつ利益の機会を最大化します。特に投資経験が少ない方にとって、バランス型の投資信託は有益です。
だんぜん資産運用がおすすめです。
変動金利が約0.675%である現状において、資産運用のメリットは顕著です。
米国総合債券では今後10年間で4.8%~5.8%、米国株では4.2%~6.2%、そして米国外の世界株式では7.1%~9.1%の年換算リターンが予測されています。
これらの数字は、株や債券市場が変動金利よりもはるかに高いリターンを提供する可能性を示しています。
確かに資産運用には市場の値動きに伴うリスクが伴いますが、長期的な視点で見ると、そのリターンはリスクを上回ることが多いため、資産運用が推奨されます。
まとめ
この記事で見てきたように、住宅ローンの返済において、繰り上げ返済よりも資産運用の方がお得です。
現在の変動金利はわずか0.675%に対し、特に米国を除く世界株式では、今後10年間で7.1%~9.1%のリターンが見込めます。これは、繰り上げ返済と資産運用の間で大きな差を生むポイントです。
そこで、皆さんには2024年から始まる新NISAを活用し、積極的に資産運用に挑戦していただきたいと思います。これが、賢い住宅ローン返済戦略となり得るでしょう。
投資の始め方で分からないことがあれば、私、田中までご相談ください。
ここまでブログを読んだくださり、ありがとうございました。
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